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2007.02.11

安彦良和の思考の限界

東京新聞   試される憲法 誕生60年
漫画家の安彦良和さん 今の改憲論はサブカル的

 機動戦士ガンダムでは、主人公の敵の「ジオン公国」はナチスなんです。整列して挙手して「ジーク・ジオン」。ところが、ガンダム人気はジオン人気というぐらい人気が出た。かなり否定的に描いたのに、それを承知で格好いいと思うのが人間の性(さが)なんですね。

 (前首相の)小泉純一郎さんも、国民は「むちゃくちゃ言っている」と思いながら、格好いいと肯定した。理屈にもならないことを押し通す方が謝るよりもいいと。あれもある種の性でしょう。

 「なにか面白いことない?」という関心にあおられるのが、サブカルチャーの世界。そこでは行儀が悪くて、刹那(せつな)的で、非日常的なものを求める。昔は「お楽しみ」にすぎなかったのに、最近は偉そうな顔をして出てきて、本当の政治気分を醸し出している。サブカル的政治ブームというのでしょうか。

 僕はアニメをやめてから「虹色のトロツキー」という満州国(中国東北部)を舞台にした漫画を描いた。満州国は日本にとって非常に存在感があった。真剣にやれば「王道楽土」ができると思って国造りをした。だけど、やはり現地では、日本人は威張り腐って結局は因果応報。本気だったけど間違っていた。

 平板な「善玉・悪玉論」では抜け落ちる、人の生きざまとか微妙なものを描きたかった。でも今の嫌中嫌韓とセットの改憲論は、そんなの関係ない言い方ですからね。「なめられて平気なのか」って。過激でインパクトがあるけど、それをそのまま受け取るのもサブカル的ですよ。

 僕が学生運動をしていたころにも、日本は米国に守られて半永久的に平和だという前提があった。甘えがあった。ぬくぬくと居心地がいいから平和憲法は捨てがたいと。そういうのは嫌だったが、人類の最高の目標を書いた看板の陰で「解釈改憲」という恥ずかしい状態も続いた。「いいかげんこの看板を外そう」という気持ちは分かる。

 でも、今のこの政治気分では非常にレベルの低い憲法改正になる。だったら恥ずかしくても分別がつくまで、この看板を掲げておけばいいと思います。


 やすひこ・よしかず 1947年北海道生まれ。弘前大中退。手塚治虫の「虫プロ」を経て、テレビアニメ「機動戦士ガンダム」「勇者ライディーン」などの作画監督を担当。89年から漫画家に専念。主な作品に「王道の狗(いぬ)」など。神戸芸術工科大教授。59歳。

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Posted at 02/11 | 雑談 | COM(4) | TB(0) |